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贈与税の算出方法

この回では贈与税について取り上げ、算出方法を解説していきます。

相続税よりは難しくないものの、考え方に注意が必要な点もあります。

まずは基本的な留意事項から確認します。
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目次

贈与税計算の前段階における留意事項

贈与税は他人から財産をもらった側の人にかかる税金ですが、例えば親から子への贈与などの場合、それが民法上の扶養義務の範囲であれば贈与税の対象にそもそも入らないので、計算対象になりません。

扶養義務を超えた贈与が贈与税の対象になります。

課税対象から基礎控除110万円を控除する

贈与税の対象になる贈与を受けた場合でも、受贈者を単位として年間110万円までであれば、基礎控除の範囲内となるため贈与税の負担はありません。

またこの場合贈与税の申告手続き自体が不要です。

110万円をこえた受贈財産が課税対象になり、ここに税率をかけて贈与税額を算出することになりますが、誰から財産をもらったのか、贈与者によって税率が変わる点に留意します。

贈与税の税率は二種類ある

上の世代から下の世代への財産移転を活発にするため、直系尊属からその年の1月1日において18歳以上となる子や孫など、直系卑属への財産移転については「特例贈与」とし、この特例贈与財産については税率を優遇しています。

上記特例贈与にあたらない贈与が「一般贈与」となり一般贈与財産については特例贈与財産よりも税負担が若干上がる設定になっています。

二つの税率表は以下で確認できますが、一般贈与と特例贈与の別に、適用のある税率を間違わないようにしましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

例えば、一般贈与財産300万円の贈与を受けた場合、適用税率は15%、控除額は10万ですので、300万円×15%-10万円=35万円が贈与税率となります。

同じ年に一般贈与と特例贈与の両方の贈与を受けた場合

この場合は按分計算が必要になります。

例えば一般贈与財産として100万円、特例贈与財産として400万円の贈与を受けたとします。

この場合、まずは両者を足した500万円から基礎控除110万円を控除して、390万円を導きます。

次に、390万円を一般贈与財産として扱ったと仮定して計算します。

390万円×20%-25万円=53万円

これを全贈与財産に占める一般贈与財産分として按分計算します。

53万円×=10万6千円・・①

今度は、おなじように390万円を特例贈与財産として扱い計算します。

こちらの対応税率を適用すると、

390万円×15%-10万円=48万5千円

これをまた、贈与財産に占める特例贈与財産分として按分計算します。

48万5千円×=38万8千円・・②

上記の①と②を足すと、10万6千円+38万8千円=49万4千円となり、これが最終的な贈与税額となります。

贈与税の負担を抑えるために設けられている主な制度

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上である配偶者から、居住用の不動産又は居住用の不動産を取得するための金銭の贈与を受けたときは、基礎控除とは別に2,000万円まで課税価格から控除することができます(相続税法第21条の6第1項)。同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けられず、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであることが要件です。

直系尊属からの贈与に係る特例

父母又は祖父母といった直系尊属から18歳以上の子や孫が贈与を受けた場合の財産は特例贈与財産とされ、一般の贈与よりも緩やかな税率が適用されます(租税特別措置法第70条の2の5)。年齢は贈与を受けた年の1月1日の時点で判定しますので、誕生日の前後により取扱いが変わる場合があります。

相続時精算課税制度について

上記で見てきたのは、贈与税の基本制度である暦年課税制度によるものです。

こちらが原則になるのですが、もう一つ「相続時精算課税制度」という仕組みも存在します。

生前に行われた財産移転について、贈与者の死亡時、つまり相続時に精算するのが相続時精算課税制度です。

生前贈与について2500万円まで贈与税がかからないものとし、相続時には相続税と一体化して精算します。

相続税の基礎控除などの仕組みを利用できることから実施的に無税となったり負担を減らす効果も期待できますが、ケースによっては逆に負担が増えることもあるので、検討する場合は専門家の指導の下に考える必要があります。

また一度相続時精算課税制度を利用した場合、二度と暦年課税制度に戻ることはできません。

年間110万円までの基礎控除を使った相続税対策もできなくなるので、相続時精算課税制度を検討する場合はこの点を十分に考慮する必要があります。

贈与税の申告と納付の手続

贈与税の申告書は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与を受けた人の住所地を所轄する税務署長に提出します(相続税法第28条第1項)。納付の期限も同じ3月15日です。期限までに申告をしなかったときは無申告加算税が、納付が遅れたときは延滞税が課されますので、贈与の額が基礎控除の110万円を超える見込みであるときは、年内のうちに資料を整えておくことをお勧めします。

相続時精算課税を選ぶときは、最初に贈与を受けた年の申告の際に、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書に添付して提出します(相続税法第21条の9第2項)。この選択は、同じ贈与者からの贈与については撤回することができません(同条第6項)ので、将来の相続までを見通したうえで判断する必要があります。

相続の場面との関係で必ず確認しておくべきこと

生前贈与加算の期間が延長されたこと

相続又は遺贈により財産を取得した人が、被相続人から相続の開始前の一定期間内に暦年課税による贈与を受けていたときは、その贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算します(相続税法第19条第1項)。この期間は従来3年でしたが、令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後の贈与について段階的に7年へ延長されました。延長された分の期間に受けた贈与については、合計100万円を控除したうえで加算します。生前贈与による相続税の負担の軽減を考えるときは、この期間の見直しを織り込んで計画を立てる必要があります。

特別受益として遺産分割で問題となること

税務上の取扱いとは別に、民法上は、共同相続人の一人が被相続人から婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として贈与を受けたときは、その贈与は特別受益として取り扱われ、遺産分割において持戻しの対象となります(民法第903条第1項)。被相続人が持戻しを免除する意思を表示していたときはその意思に従いますが(同条第3項)、この意思表示の有無をめぐって争いとなる例が多く見られます。贈与の目的、金額及び時期を記した贈与契約書を作成し、必要に応じて持戻し免除の意思表示を書面に残しておくことが、後の紛争の予防につながります。

遺留分との関係

相続人に対する生前贈与は、原則として相続の開始前の10年間にされたもので、かつ特別受益に当たるものが、遺留分を算定するための財産の価額に算入されます(民法第1044条第3項)。相続人以外の者に対する贈与は、原則として相続の開始前の1年間にされたものが算入されます(同条第1項)。もっとも、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、これらの期間より前の贈与も算入されます。税負担のみに着目して贈与を重ねますと、かえって遺留分侵害額請求の火種を作ることになりかねません。

よくある御質問

毎年110万円ずつ贈与すれば贈与税はかかりませんか

暦年課税の基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりません。ただし、あらかじめまとまった金額を贈与することが決まっており、これを分割して交付しているにすぎないと評価される場合には、その全体について課税される可能性があります。毎年その都度贈与の合意をし、贈与契約書を作成し、受贈者本人が管理する預金口座に振り込むという実質を備えておくことが大切です。

子名義の預金に親が入金していた場合はどうなりますか

名義が子であっても、通帳及び印鑑を親が管理し、子がその存在を知らなかったという場合には、実質的には親の財産(いわゆる名義預金)と評価され、相続税の課税対象に含まれることがあります。贈与として成立させるには、贈与の合意があること、及び受贈者が自らその財産を管理し処分することができる状態にあることが必要です。

贈与税の計算や相続との関係について相談したいのですが

贈与は、税負担の問題と、遺産分割及び遺留分という民法上の問題とが重なる場面です。当事務所では、将来の相続における紛争の予防という観点から、贈与の方法と書面の整え方についてご相談をお受けしています。具体的な税額の計算については税理士と連携して対応いたしますので、まずはご相談ください。

まとめ

本章では贈与税の算出方法について見てきました。

相続税ほど難しくはありませんが、税率の種類が二種類あることに留意しておきましょう。

また暦年課税制度と相続時精算課税制度という二つの制度があり、併用できないことも知っておく必要があります。

相続対策のために相続時精算課税制度を検討する場合には、必ず専門家の指導を仰ぐようにしてください。

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具体的なご相談をお考えの皆様へ

本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。

執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

平成23年に最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得た弁護士であります。長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件にも関与しております。

主として取り扱う分野 M&A、株式買取請求権、非上場株式の価格の決定、企業価値評価、事業承継及び企業法務

所在地 〒105-6017 東京都港区虎ノ門4丁目3番1号 森トラスト城山トラストタワー17階/電話番号 03-6435-8418/受付時間 8:00-21:00(土日祝含む)

本記事の記載は一般的な法律情報であり、個別の事案に関する法律上の助言ではありません。記載した経歴は事実の記述であり、個別の事件の結果を保証するものではありません。

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