死亡退職金

死亡退職金とは、被用者又は役員が死亡したことにより、その勤務し又は在任していた会社等から遺族に対して支給される退職手当金等をいいます。死亡弔慰金その他の名称が用いられることもございます。
第1節 法的性質
死亡退職金の法的性質は、支給の根拠となる退職金規程、労働協約、就業規則等の定めによって判断されます。これらに受給権者の範囲及び順位が定められている場合には、そこで指定された遺族が、相続によってではなく、自己固有の権利として取得するものと解されております。この場合、死亡退職金は相続財産に属さず、遺産分割の対象となりません。
これに対し、受給権者に関する定めが存在しない場合には、被相続人が有していた請求権が相続財産に属するものと解される余地がございます。いずれに当たるかは、規程の文言及び制度の趣旨に照らして個別に判断されるべきものでございまして、一律に決することはできません。
会社の役員に対する退職慰労金につきましては、別の考慮を要します。取締役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは株主総会の決議によって定めるものとされており(会社法第361条第1項)、死亡による退職慰労金もこれに含まれるものと解されております。したがいまして、株主総会の決議を経なければ、原則として具体的な請求権が発生いたしません。
第2節 相続税及び遺産分割との関係
死亡退職金のうち、被相続人の死亡後一定の期間内に支給が確定したものは、相続又は遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税の対象とされております。もっとも、法定相続人の数に応じた非課税の枠が設けられております。具体的な金額及び要件は改正によって変動いたしますので、税務の取扱いにつきましては、税理士に御確認ください。
遺産分割との関係におきましては、死亡退職金が特定の相続人に支給された場合に、これを特別受益に準ずるものとして持戻しの対象とすべきかが争われることがございます。支給の趣旨、金額の多寡、他の相続人との公平その他の事情を考慮して判断されるべきものと解されており、結論は事案によって異なります。
第3節 実務上の留意点
まず確認すべきは、支給の根拠となる規程の有無及びその内容でございます。規程の写しの交付を求めることが出発点となります。同族の会社におきましては、規程が整備されていない、又は形式のみ存在して運用されていない例が見受けられます。
また、経営権をめぐって相続人と会社側とが対立している事案におきましては、株主総会の決議がされないことによって支給が実現しない場合がございます。この場合には、会社法上の権利の行使を含めた対応を検討することになります。当事務所は、こうした局面における交渉及び紛争の解決を担うものでございます。
第4節 関連する用語
みなし相続財産、生命保険の非課税、特別受益、相続財産、非課税財産などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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