相次相続控除

相次相続控除とは、相続が開始した後、比較的短い期間のうちに次の相続が開始した場合に、後の相続に係る相続税の額から一定の額を控除する制度をいいます。相続税法に定めが置かれております。
第1節 制度の趣旨と枠組み
同一の財産につきまして短い期間のうちに相続が繰り返されますと、そのたびに相続税が課され、税の負担が過重となります。この不合理を緩和するために設けられたのが相次相続控除でございます。
前の相続におきまして被相続人が相続税を課されていたこと、及び前の相続の開始から一定の期間内に次の相続が開始したことが、適用の前提となります。控除される額は、前の相続において課された相続税の額と、前の相続の開始から今回の相続の開始までに経過した期間の長短に応じて定まる仕組みとなっており、経過した期間が長いほど控除される額は小さくなってまいります。
適用の対象となるのは相続人に限られます。相続の放棄をした者や、相続人以外で遺贈により財産を取得した者には適用がございません。具体的な算式及び期間の要件は法令の改正によって変動いたしますので、税務の取扱いにつきましては税理士に御確認ください。
第2節 実務上の留意点
第一に、この制度の適用の可否を判断するためには、前の相続に係る申告の内容を確認する必要がございます。前の相続において誰がどの財産を取得し、いかなる額の相続税を納付したかという資料が手元にないという事態がしばしば生じます。前の相続の関係書類は保管しておくことが望まれます。
第二に、いわゆる数次相続、すなわち前の相続に係る遺産分割の協議が調わないうちに相続人の一人が死亡した場合には、法律関係が複雑になります。前の相続の相続人としての地位が、その者の相続人に承継されることとなり、協議に加わるべき者の範囲が拡大いたします。当初は少数の当事者による協議であったものが、二次の相続を経ることによって多数の当事者を要する協議へと変容し、連絡が取れない者や所在の不明な者が生ずることも稀ではございません。
第三に、数次相続の事案におきましては、前の相続についての遺産分割と、後の相続についての遺産分割とを、それぞれ区別して整理する必要がございます。両者を混同したまま協議書を作成いたしますと、後に登記の手続において是正を求められることがございます。
第四に、相続の開始の時から10年を経過いたしますと、特別受益及び寄与分の主張が原則としてできなくなります。民法第904条の3に定めがございます。数次相続の事案におきましては前の相続の開始からの期間が問題となりますので、協議を長期にわたって放置することは避けるべきでございます。
第五に、相続の開始が短い期間のうちに繰り返される事案では、二次の被相続人が一次の相続において取得すべきであった財産の範囲が確定していないことが多うございます。まずは一次の相続における遺産の範囲を確定する作業から着手することが、実務上の順序となります。
第3節 関連する用語
数次相続、代襲相続、相続税還付が関連いたします。当事務所は税務申告の代理を行うものではございませんので、控除の可否及び額の計算につきましては税理士に御確認ください。弁護士費用につきましては弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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