小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていたもので一定の要件を満たすものについて、限度となる面積までの部分に限り、相続税の課税価格に算入すべき価額を減額することができる制度をいいます。
第1節 趣旨と区分
事業の用又は居住の用に供されている宅地は、その者及び家族の生活の基盤を成すものでございます。これを通常の方法によって評価いたしますと、相続税の負担のためにその宅地を処分せざるを得ず、事業の継続又は居住の継続が困難となるおそれがございます。この特例は、そのような事態を避ける趣旨で設けられたものでございます。
対象となる宅地等は、特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等に区分されております。区分ごとに、適用を受けることができる限度の面積及び減額の割合が定められており、また、取得する者の範囲、申告期限までの保有、居住又は事業の継続に関する要件が細かく定められております。
第2節 適用を受けるための手続
この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書を提出することが必要でございます。特例を適用した結果として納付すべき税額が生じない場合であっても、申告を要します。申告をしなければ適用を受けられませんので、この点は特に注意を要します。
また、原則として、申告期限までに遺産分割が調っていることが必要でございます。未分割の状態では適用を受けることができません。もっとも、申告の際に所定の書面を提出しておき、その後の一定の期間内に分割が調った場合には、更正の請求によって適用を受ける道が開かれております。
第3節 実務上の留意点
相続人の間に対立があり、遺産分割の協議が調わない場合には、この特例の適用を受けられず、多額の納税を余儀なくされることがございます。しかも、その負担は相続人の全員に及びます。対立の解消が、税務上の利害とも直結しているということでございます。
さらに、この特例は誰がその宅地を取得するかによって適用の可否が変わり得るものでございます。したがいまして、遺産分割の内容をどのように定めるかという検討と、税務上の取扱いの検討とを、切り離して進めることができません。分割の方針を固める段階から、双方を並行して検討する必要がございます。
限度となる面積、減額の割合その他の具体的な要件は、税制の改正によって変動いたします。税務の取扱いにつきましては、税理士に御確認ください。
なお、この特例は宅地等の評価額を減額するものでございまして、遺産分割において当該宅地をいくらのものとして扱うかという問題とは、別のものでございます。特例の適用によって相続税の課税価格が小さくなりましても、共同相続人の間における取り分の計算においては、通常の評価が用いられるのが一般でございます。両者を混同いたしますと、分割の内容が実質的に不均衡なものとなる余地がございます。
第4節 関連する用語
基礎控除、財産評価基本通達、路線価、底地、取得費加算の特例などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
このページの位置付けと、関連するページ
本ページは、相続税及び生前の税務対策に関する解説のうちの一つです。全体像は、次の中核となるページを御覧ください。
▶ 非上場株式の相続税評価額はどのように決まる?上場株式との違いや計算方法を解説
同じ主題を扱う関連ページ
- 非上場株式の相続税が払えないときの選択肢
- 一般社団法人による事業承継とは?メリット・デメリットや税務の注意点を解説
- 売渡しの請求における売買価格の決定の申立ての進め方
- 決算書類がないまま相続税の申告期限が近づいている場合の対応
- 遺産分割における非上場株式の評価額の決め方
- 相続税評価額で分割され取り分が減ってしまった場合の主張の組み立て
- 遺産相続とは?手続きの流れから注意点まで分かりやすく解説します!
- 「株価はゼロ円だ」と言われ価値の高い株式を承継されてしまった場合
- 所得税の算出方法!
- 相続税の物納及び延納と自社株式の換価との比較
- 株式保有特定会社とは?評価方法やメリット・デメリット、株特外しまでわかりやすく解説
- 相続税の申告期限までに買取価格が決まらない場合の対応
具体的な御相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。

