障害者控除

障害者控除とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が障害者に該当する法定相続人である場合に、その者の納付すべき相続税額から一定の金額を控除する制度をいいます(相続税法第19条の4)。
第1節 制度の内容
この制度は、障害のある相続人につきまして、その将来にわたる生活及び療養に要する費用を考慮し、相続税の負担を軽減する趣旨で設けられたものでございます。
適用を受けるためには、相続又は遺贈により財産を取得したこと、相続の開始の時において日本国内に住所を有すること、被相続人の法定相続人であること、及び障害者に該当することが必要とされております。
控除される金額は、その者が一定の年齢に達するまでの年数に応じて算定されます。すなわち、若年であるほど控除の額が大きくなる仕組みでございます。障害の程度に応じて、一般障害者と特別障害者とで算定の基礎が異なるものとされております。
控除しきれない金額があるときは、その者の扶養義務者の相続税額から控除することができるものとされております。また、過去の相続において既にこの控除を受けたことがある場合には、その控除の額について調整が行われます。
第2節 実務上の留意点
税務上の控除の適用と、遺産分割の手続に関する問題とは、別に検討する必要がございます。障害者であることは、直ちに判断能力を欠くことを意味するものではございません。他方、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合には、成年後見人等の選任を経なければ、遺産分割の協議を有効に行うことができません。
その際、成年後見人となった者が自らも共同相続人である場合には、遺産分割の協議は利益相反行為に当たりますので、特別代理人の選任を要することとなります。この点を見落としたまま成立した協議は、効力を否定される余地がございます。
また、障害のある相続人の将来にわたる生活の安定を図るという観点からは、分割の内容そのものを工夫することが有用でございます。管理を要しない財産を取得させる、信託を活用する、負担付の遺贈を用いるといった方法が考えられます。
控除の額の算定の基礎となる年齢及び金額は、税制の改正によって変動いたします。税務の取扱いにつきましては、税理士に御確認ください。
なお、障害者控除は相続税額そのものから控除されるものでございまして、課税価格から控除される基礎控除とは、その働く場面が異なります。前者は税額控除、後者は課税価格の計算における控除でございます。控除という名称を用いる制度が複数ございますので、いずれの段階における控除であるかを意識して整理していただくと、理解しやすいものでございます。
相続税額から控除される制度といたしましては、このほかに未成年者控除及び相次相続控除が設けられております。いずれも、控除を受けることができる者の範囲及び算定の方法が定められておりますので、該当し得る場合には、その適用の有無を確認しておく必要がございます。
第3節 関連する用語
未成年者控除、相次相続控除、配偶者控除、利益相反行為、基礎控除などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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