死因贈与

死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与をいいます。民法は、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する旨を定めております(民法第554条)。
第1節 遺贈との違い
死因贈与は、贈与者と受贈者との間の契約でございます。両者の意思の合致によって成立いたしますので、受贈者が知らないうちに成立するということはございません。これに対し、遺贈は遺言者の単独行為でございまして、相手方の承諾を要しません。この点が両者の最も大きな違いでございます。
契約でございますから、遺言の方式に従う必要はございません。方式の不備によって効力を否定されるおそれがないという点は、死因贈与の利点でございます。もっとも、書面によらない贈与は各当事者が解除をすることができるものとされておりますので(民法第550条本文)、書面によることが望ましく、公正証書によって作成する例も少なくございません。
第2節 撤回及び執行
遺贈に関する規定が準用される結果、贈与者は、原則としていつでも死因贈与を撤回することができるものと解されております。自己の死後の財産の処分については、最終の意思を尊重すべきであるという考え方によるものでございます。
もっとも、負担の付された死因贈与につきまして、受贈者が負担の全部又は一部を既に履行している場合には、特段の事情がない限り撤回することができないものと解されております。負担を履行した受贈者の期待を保護する趣旨でございます。
死因贈与につきましても、執行者を定めておくことができます。不動産を目的とする場合には、贈与者の生存中に始期付所有権移転の仮登記を経ておくことによって、死亡後の手続を円滑にし、また第三者への処分に備えることが可能でございます。
第3節 実務上の留意点
死因贈与も、被相続人の財産を無償で移転させるものでございますから、遺留分を侵害する場合には、遺留分侵害額の請求の対象となり得ます。特定の者に財産を集中させる目的で用いる場合には、他の相続人の遺留分への配慮を欠くことができません。
また、口頭の約束のみで書面が存在しない事案におきましては、そのような合意があったこと自体が争われることが少なくございません。相続の開始の後は贈与者から事情を聴くことができませんので、契約書の作成及び保管が極めて重要でございます。課税の取扱いにつきましては、税理士に御確認ください。
さらに、贈与者が死因贈与の目的とした財産を生前に第三者に譲渡してしまった場合には、その部分について死因贈与を撤回したものと扱われることになります。受贈者としては、目的物が確実に残されるという保障を得られるものではございません。この点でも、仮登記その他の備えを講じておく意義がございます。
第4節 関連する用語
遺贈、負担付遺贈、生前贈与、受贈者、遺留分侵害額請求などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
このページの位置付けと、関連するページ
本ページは、遺留分に関する解説のうちの一つです。全体像は、次の中核となるページを御覧ください。
▶ 遺留分とは?相続人の受け取れる割合や侵害額請求について解説します!
同じ主題を扱う関連ページ
- 後妻とその家族に自社株式が承継された場合の対応
- 生前贈与及び遺言により後継者へ株式を承継させる場合の手続と留意点
- 何年も前に株式を無償で得た後継者が遺産分割で何も渡さない場合
- 他の相続人に全財産を相続させる遺言書が発見された!
- 事業承継の3つの類型と相続の場面において生ずる法律上の差異
- 家族信託をすると遺留分はどうなるのか?リスクと対策を弁護士が解説
- 後妻とその家族に遺産が承継された場合の対応
- 遺留分侵害額(減殺)請求について徹底解説!請求方法や注意点も紹介します
- 遺留分の計算方法とは?パターン別の遺留分割合と遺留分侵害額請求の方法を解説
- 公正証書遺言の効力が有効でも遺留分は請求できる?手続を分かりやすく解説
- 遺留分
- 遺言書がある場合の相続と遺留分との関係や、遺留分侵害額請求の対策について解説
具体的な御相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。

