暦年贈与

暦年贈与とは、暦年課税、すなわち1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の価額を合計して贈与税を課する方式による贈与をいいます。相続税法に定める贈与税の課税方式の一つでございまして、相続時精算課税に対する語として用いられます。

目次

第1節 制度の枠組み

暦年課税におきましては、その年中に贈与により取得した財産の価額の合計額から基礎控除額を控除した残額に対して、累進の税率により贈与税が課されます。基礎控除の額の範囲内であれば、贈与税は課されず、申告も要しないのが原則でございます。この仕組みを利用して、長期にわたり計画的に財産を移転する方法が、生前の対策として説明されることがございます。

もっとも、留意を要しますのは、相続又は遺贈により財産を取得した者が、相続の開始前の一定の期間内に被相続人から受けた贈与につきましては、その価額を相続税の課税価格に加算するものとされている点でございます。この加算の対象となる期間は、令和5年度の税制改正により延長されており、段階的に適用されることとなっております。したがいまして、相続の開始が近い時期にされた贈与は、相続税の計算に取り込まれます。

基礎控除の額、税率、加算の対象となる期間その他の具体的な数値は法令の改正により変動いたしますので、税務の取扱いにつきましては税理士に御確認ください。当事務所は税務申告及び税務代理を行うものではございません。

第2節 実務上の留意点

第一に、贈与が成立していると認められることが前提でございます。贈与は、当事者の一方が財産を無償で与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生ずる契約でございます。民法第549条に定めがございます。名義を変更したのみで、通帳及び印章を被相続人が管理し続け、名義人が財産の存在を知らなかったという事案では、贈与は成立しておらず、名義預金として被相続人に帰属するものと判断される可能性が高うございます。

第二に、当事務所の観点から重要でございますのは、生前の贈与が相続人の間の紛争の火種となる点でございます。特定の相続人のみが多額の贈与を受けていた場合、その贈与は特別受益に当たり、遺産分割において持戻しの対象となり得ます。また、遺留分を算定するための財産の価額に加える贈与にも当たり得ます。

第三に、両者の対象となる範囲は異なります。特別受益の持戻しは相続の開始の時から10年を経過した後の分割には適用されず、遺留分の算定に加える相続人に対する贈与は相続の開始前の10年間にされたものに限られます。いずれも民法上の制度でございまして、税務上の加算の期間とは別のものでございます。混同されないよう御留意ください。

第四に、贈与の事実を明確にするため、贈与契約書を作成し、受贈者自身が財産を管理する状態としておくことが望まれます。

第3節 関連する用語

連年贈与、名義預金、特別受益、相続時精算課税、遺留分侵害額請求が関連いたします。弁護士費用につきましては弁護士費用一覧のページを御覧ください。

具体的な御相談をお考えの皆様へ

本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。

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