連年贈与

連年贈与とは、複数の年にわたり継続して贈与を行うことをいいます。暦年課税における基礎控除の額の範囲内で毎年贈与を繰り返す方法が、生前の対策として説明されることがございますが、法令上の制度の名称ではなく、実務上の呼称でございます。

目次

第1節 定期金給付契約とみなされる場合

毎年一定の額を一定の期間にわたり給付する旨の合意が当初から存在すると認められる場合には、各年の贈与とはみなされず、その合意をした年において、定期金に関する権利の全体の贈与があったものとして取り扱われることがございます。この場合、各年の基礎控除を重ねて適用することはできません。

これに対し、毎年、その都度、贈与をする意思と受諾とが個別に存在すると認められる場合には、各年ごとの贈与として取り扱われます。両者の区別は、当初の合意の内容、契約書の記載、贈与の額及び時期が一定であるか否か、受贈者の管理の状況などの事情によって判断されます。

贈与の額、税率、基礎控除の額その他の具体的な数値は法令の改正により変動いたしますので、税務の取扱いにつきましては税理士に御確認ください。当事務所は税務申告及び税務代理を行うものではございません。

第2節 実務上の留意点

第一に、贈与が成立していると認められることが前提でございます。名義を変更したのみで、通帳及び印章を被相続人が管理し続け、名義人が財産の存在を知らなかったという事案では、贈与は成立しておらず、名義預金として被相続人に帰属するものと判断される可能性が高うございます。毎年の贈与について契約書を作成し、受贈者自身が財産を管理する状態としておくことが望まれます。

第二に、相続又は遺贈により財産を取得した者が相続の開始前の一定の期間内に被相続人から受けた贈与につきましては、その価額が相続税の課税価格に加算されます。この期間は令和5年度の税制改正により延長されておりますので、長期にわたる計画を要する方法となっております。

第三に、当事務所の観点から重要でございますのは、相続人の間の紛争を招く点でございます。特定の相続人のみが継続して贈与を受けていた事実は、他の相続人が後に取引の履歴を確認して知ることとなり、深刻な対立の原因となります。当該贈与は特別受益に当たり、遺産分割において持戻しの対象となり得ますし、遺留分を算定するための財産の価額に加える贈与にも当たり得ます。

第四に、被相続人の判断能力が低下した後に、同居していた相続人が繰り返し出金をしていた事案では、それが贈与であったのか、無断の引出しであったのかが争われます。前者であれば特別受益の問題となり、後者であれば不当利得の返還又は不法行為に基づく損害賠償の問題となります。いずれと構成するかによって、手続も立証すべき事実も異なります。

第五に、生前の対策として実行される場合には、他の相続人にもその趣旨をあらかじめ説明しておくことが、紛争の予防に資します。

第3節 関連する用語

暦年贈与、名義預金、特別受益、遺留分侵害額請求が関連いたします。弁護士費用につきましては弁護士費用一覧のページを御覧ください。

具体的な御相談をお考えの皆様へ

本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。

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