名義預金

名義預金とは、預金の名義人と実質的な帰属者とが一致しない預金をいいます。名義は家族のものでありながら、実質的には被相続人に帰属していると認められるものを指すのが通例でございまして、相続税の課税においても、遺産の範囲を定めるうえでも問題となります。
第1節 帰属の判断
預金が誰に帰属するかは、名義のみによって定まるものではございません。判断に当たっては、原資を誰が拠出したか、通帳、印章及びキャッシュカードを誰が管理していたか、預金の利息を誰が享受していたか、名義人が預金の存在を認識していたか、贈与の事実があったと認めるに足りる事情があるかといった要素が総合的に考慮されます。
とりわけ重要でございますのは、贈与の成立の有無でございます。贈与は当事者の一方が財産を無償で与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生ずる契約でございます。民法第549条に定めがございます。名義人が預金の存在を知らず、通帳も印章も被相続人が管理していたという事情がございますと、受諾がなく贈与は成立していないと判断され、被相続人に帰属するものとされる可能性が高くなります。
第2節 実務上の留意点
第一に、名義預金は相続税の税務調査において最も多く問題とされる事項の一つでございます。もっとも、税務代理は税理士の業務でございまして、当事務所がこれを行うものではございません。
第二に、当事務所が取り扱いますのは、名義預金が遺産に属するか否かという民事上の争いでございます。特定の相続人の名義となっている預金について、他の相続人が遺産であると主張し、名義人がこれを争うという構図が典型でございます。この争いは遺産の範囲そのものに関わりますので、家庭裁判所の遺産分割の手続の中で終局的に確定させることはできず、遺産の確認を求める訴えによる必要がございます。
第三に、立証の手段でございます。預金の取引の履歴、原資となった口座からの資金の移動の記録、贈与税の申告の有無、贈与契約書の存否、名義人自身の当時の収入の状況などが手掛かりとなります。金融機関における記録の保存期間には限りがございますので、早期に調査に着手する必要がございます。
第四に、生前の対策といたしましては、贈与の事実を明確にしておくことが肝要でございます。贈与契約書を作成し、名義人自身が通帳及び印章を管理し、名義人が自由に使用することができる状態にしておくことが望まれます。
第五に、被相続人が家族の名義で預金を作成していた事案では、その意図が贈与にあったのか、単に資金を分散して管理していたにすぎないのかが争われます。生前の言動、他の相続人への説明の有無などが重要な事情となりますので、記録を残しておくことが望まれます。
第3節 関連する用語
相続財産、遺産の範囲、暦年贈与、使い込みが関連いたします。税務の取扱いにつきましては税理士に御確認ください。弁護士費用につきましては弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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