戸籍抄本

戸籍抄本とは、戸籍に記載された事項のうち、請求に係る特定の者に関する部分のみを写した書面をいいます。電子計算機によって処理されている戸籍につきましては、戸籍個人事項証明書と称されます。
第1節 戸籍謄本との違い
戸籍謄本が当該戸籍に在籍する者の全員に関する記載を含むのに対し、戸籍抄本は特定の一人又は数人に関する記載のみを抜き出したものでございます。証明の対象となる範囲が異なるにとどまり、証明力そのものに優劣があるわけではございません。
もっとも、相続の手続におきまして通常求められますのは戸籍謄本でございます。相続人の範囲を確定するためには、当該戸籍に誰が在籍していたのかを漏れなく把握する必要があり、特定の者に関する記載のみでは、他に子があるかどうかを確認することができないからでございます。
第2節 戸籍抄本が用いられる場面
戸籍抄本で足りますのは、特定の者の出生の年月日、氏名、親子関係といった限られた事項のみを示せば足りる手続でございます。旅券の申請、各種の資格の登録の申請、年金に関する一部の手続などがこれに当たります。
相続に関しましても、既に相続人の範囲が確定している段階において、特定の相続人自身の身分関係を示せば足りる場面では、抄本によることが可能な場合がございます。ただし、提出先によって取扱いが異なりますので、あらかじめ確認しておくことが確実でございます。
交付を請求することができる者の範囲は、戸籍謄本の場合と同様でございます。戸籍に記載されている者、その配偶者、直系尊属又は直系卑属が請求することができ(戸籍法第10条第1項)、これらに当たらない者は、自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために必要であることなどを明らかにして請求することとなります(戸籍法第10条の2)。
第3節 実務上の留意点
窓口又は郵送によって請求をする際に、単に戸籍と申し出ますと、抄本が交付されることがございます。相続の手続に用いる場合には、全部を写したものが必要である旨、及び被相続人の出生の時から死亡の時までのすべてが必要である旨を明記して請求することが肝要でございます。取り違えますと、改めて取得する手間と費用を要することになります。
また、抄本によって手続を進めた結果、後に他の相続人の存在が判明することがございます。共同相続人の全員によらない遺産分割の協議は無効でございますので、範囲の確認は謄本によって行うべきものでございます。
なお、戸籍抄本と戸籍謄本のいずれについても、電子計算機による処理がされていない戸籍につきましては、従前どおり謄本又は抄本の名称が用いられ、処理がされている戸籍につきましては全部事項証明書又は個人事項証明書の名称が用いられます。名称は異なりますが、証明の対象となる範囲による区別であることに変わりはございません。
第4節 関連する用語
戸籍、戸籍謄本、改製原戸籍、除籍、戸籍の附票などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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