基礎控除

基礎控除とは、課税の対象となる金額を算定するに当たり、特別の要件を要することなく一律に差し引かれる金額をいいます。相続に関して基礎控除と申します場合には、相続税の課税価格の合計額から控除される遺産に係る基礎控除額を指すのが通例でございます(相続税法第15条)。
第1節 制度の枠組み
遺産に係る基礎控除額は、すべての相続に共通して適用される定額の部分と、法定相続人の数に応じて加算される部分との合計として定められております。すなわち、相続人の数が多いほど控除される額が大きくなる仕組みでございます。
課税価格の合計額が基礎控除額を超えない場合には、相続税の申告は原則として要しないものとされております。もっとも、小規模宅地等の特例、配偶者に対する相続税額の軽減その他の特例を適用した結果として納付すべき税額が生じないという場合には、申告をすることが特例の適用の要件とされておりますので、申告が必要でございます。この区別を誤りますと、特例の適用を受けられない事態を招く余地がございます。
第2節 法定相続人の数の算定
基礎控除額の算定の基礎となる法定相続人の数につきましては、相続の放棄があった場合であっても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数によるものとされております。したがいまして、相続放棄によって基礎控除額が減少することはございません。
また、被相続人に養子がある場合には、法定相続人の数に算入することができる養子の数に制限が設けられております。さらに、養子縁組が専ら相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、その者の数を算入しないものとされる定めがございます。
第3節 実務上の留意点
基礎控除額の具体的な金額並びに養子の数の制限その他の要件は、税制の改正によって変動いたします。具体的な金額及び最新の取扱いにつきましては、税理士に御確認ください。当事務所は税務の申告の代理を行うものではございません。
弁護士が関与いたしますのは、その前提となる相続人の範囲の確定でございます。戸籍の収集によって前婚における子、認知された子、代襲相続人の存在が判明いたしますと、法定相続人の数が変わり、基礎控除額にも影響が及びます。相続人の範囲に争いのある事案におきましては、まずこの点を確定させる必要がございます。
なお、贈与税の課税の方式のうち暦年課税におきましても基礎控除が定められておりますが、相続税の基礎控除とは全く別の制度でございます。両者を混同しないよう御留意ください。
基礎控除額を超えるかどうかの判断の前提として、遺産の範囲そのものに争いがある場合がございます。被相続人の名義でない預金が実質的に被相続人に帰属するものと評価される場合、生前に引き出された金銭の使途が問題となる場合などでございます。これらは遺産の範囲の確定という民事上の問題でございまして、弁護士が取り扱うべき事項に属します。
第4節 関連する用語
相続税、法定相続分、養子縁組、小規模宅地等の特例、配偶者控除、暦年贈与などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
このページの位置付けと、関連するページ
本ページは、相続税及び生前の税務対策に関する解説のうちの一つです。全体像は、次の中核となるページを御覧ください。
▶ 非上場株式の相続税評価額はどのように決まる?上場株式との違いや計算方法を解説
同じ主題を扱う関連ページ
- 非上場株式の相続税が払えないときの選択肢
- 一般社団法人による事業承継とは?メリット・デメリットや税務の注意点を解説
- 売渡しの請求における売買価格の決定の申立ての進め方
- 決算書類がないまま相続税の申告期限が近づいている場合の対応
- 遺産分割における非上場株式の評価額の決め方
- 相続税評価額で分割され取り分が減ってしまった場合の主張の組み立て
- 遺産相続とは?手続きの流れから注意点まで分かりやすく解説します!
- 「株価はゼロ円だ」と言われ価値の高い株式を承継されてしまった場合
- 所得税の算出方法!
- 相続税の物納及び延納と自社株式の換価との比較
- 株式保有特定会社とは?評価方法やメリット・デメリット、株特外しまでわかりやすく解説
- 相続税の申告期限までに買取価格が決まらない場合の対応
具体的な御相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。

