遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な行為をする者をいいます。遺言者は既に死亡しておりますので、その意思を実現する役割を担う者を置くことができるものとされております。
第1節 選任の方法
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができます(民法第1006条第1項)。遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、遺言執行者を選任することができます(民法第1010条)。
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければなりません(民法第1007条第1項)。任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(同条第2項)。また、遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人に交付する義務を負います(民法第1011条第1項)。
第2節 権限と相続人の地位
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民法第1012条第1項)。遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生じます(民法第1015条)。
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません(民法第1013条第1項)。これに違反してされた行為は無効でございますが、これをもって善意の第三者に対抗することはできません(同条第2項)。
遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができます(民法第1016条第1項)。
第3節 実務上の留意点
遺言による認知(民法第781条第2項)、推定相続人の廃除及びその取消し(民法第893条、第894条第2項)につきましては、遺言執行者によらなければ実現することができません。遺言にこれらの内容を含めながら遺言執行者の指定を欠いている場合には、家庭裁判所に選任を請求する必要がございます。
相続人の間に対立が生ずることが見込まれる事案におきましては、相続人以外の第三者を遺言執行者に指定しておくことが有用でございます。相続人の一人を指定いたしますと、他の相続人との間で利害の対立が表面化し、執行が停滞する場合がございます。
遺言執行者の報酬は、遺言に定めがあるときはこれにより、定めがないときは家庭裁判所が相続財産の状況その他の事情によって定めることができます(民法第1018条第1項)。当事務所が遺言執行者に指定された場合の弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
遺言執行者は、その任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所によって解任される場合がございます(民法第1019条第1項)。また、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます(同条第2項)。相続人としては、財産目録の交付がされない、執行が長期にわたって進まないといった事情がある場合に、解任の請求を検討する余地がございます。
第4節 関連する用語
遺言、公正証書遺言、自筆証書遺言、遺贈、廃除、認知などの用語も併せて御参照ください。
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