法定相続分

法定相続分とは、共同相続人が相続する割合として民法が定めるものをいいます。民法第900条に定めが置かれております。被相続人による相続分の指定がなく、また相続人の間に別段の合意がない場合の基準となる割合でございます。
第1節 民法の定める割合
子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1でございます。配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1でございます。配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1でございます。
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は相等しいものといたします。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1でございます。
配偶者がない場合には、血族相続人が全部を相続いたします。血族相続人がない場合には、配偶者が全部を相続いたします。代襲相続人の相続分は、被代襲者が受けるべきであった相続分と同一でございまして、代襲者が数人あるときはこれを等分いたします。
なお、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1と定めていた規定は、最高裁判所が平成25年に憲法に違反すると判断したことを受けて削除されており、現行法には存在いたしません。古い文献にはなお当該記述が残っていることがございますので、依拠されないよう御留意ください。
第2節 実務上の留意点
第一に、法定相続分は当事者を拘束するものではございません。被相続人は遺言によって相続分を指定することができますし、相続人の全員が合意をするのであれば、これと異なる内容の遺産分割をすることができます。実務においてもそのような分割が広く行われております。
第二に、法定相続分と具体的相続分とは区別を要します。特別受益又は寄与分がある場合には、これらを考慮して各相続人が現実に取得すべき割合が修正されます。この修正後の割合を具体的相続分と申します。
第三に、期間の制限がございます。民法第904条の3は、相続の開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、特別受益及び寄与分に関する規定を適用しない旨を定めております。この期間を経過いたしますと、原則として法定相続分によって分割することとなります。令和3年の民法の改正により設けられた規定でございまして、遺産分割を長期にわたり放置することの不利益が明確にされております。
第四に、可分債務は、相続の開始とともに法定相続分に応じて当然に分割され、各相続人がこれを承継するものと解されております。遺産分割において特定の相続人が全ての債務を負担する旨を定めましても、債権者の承諾がない限り、これを債権者に対抗することはできません。
第五に、遺留分の額は、法定相続分に遺留分の割合を乗じて算出いたします。したがいまして、法定相続分の理解は遺留分侵害額請求の前提となります。
第3節 関連する用語
具体的相続分、特別受益、寄与分、代襲相続、遺留分侵害額請求が関連いたします。弁護士費用につきましては弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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