直系卑属

直系卑属とは、子、孫、曾孫のように、自己より後の世代に属する直系の血族をいいます。これに対し、父母、祖父母のように自己より前の世代に属する直系の血族を直系尊属と申します。
第1節 相続における地位
被相続人の子は、血族相続人の第1順位でございます。民法第887条第1項に定めがございます。実子と養子との間、及び嫡出子と嫡出でない子との間に、相続分の差はございません。嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定は、最高裁判所が平成25年に憲法に違反すると判断したことを受けて削除されており、現行法には存在いたしません。
子が相続の開始以前に死亡し、又は相続欠格若しくは廃除により相続権を失ったときは、その子である孫が代襲して相続人となります。孫についても同様の事由が生じたときは曾孫が相続人となり、直系卑属である限り再代襲が続いてまいります。この点は、代襲が一代に限られる兄弟姉妹の系統とは異なります。
配偶者と子とが共に相続人となる場合の法定相続分は、それぞれ2分の1でございます。民法第900条第1号に定めがございます。子が複数あるときは、2分の1をその頭数で等分いたします。
直系卑属には遺留分がございます。したがいまして、特定の子に全ての財産を相続させる旨の遺言がされた場合でありましても、他の子は遺留分侵害額請求をすることができます。
第2節 実務上の留意点
第一に、普通養子縁組による養子は、養親の直系卑属であると同時に、実方の父母の直系卑属でもございます。したがいまして、双方の相続について相続人となります。他方、特別養子縁組の場合には実方との親族関係が終了いたしますので、実方の父母の相続については相続人となりません。
第二に、養子の子が代襲相続をすることができるか否かは、その子が養子縁組の前に生まれたか後に生まれたかによって異なります。縁組の前に生まれていた子は養親の直系卑属ではございませんので、代襲相続をいたしません。戸籍によって出生の日と縁組の日とを確認する必要がございます。
第三に、孫を養子とする方法が、相続の対策として用いられることがございます。もっとも、他の相続人の相続分が減少いたしますので、相続人の間の対立を招く一因となり得ます。また、専ら相続税を回避する目的でされた縁組の効力が争われた事案もございます。判例は、そのような目的があったというだけでは直ちに縁組の意思を欠くものではないと判断いたしました。
第四に、被相続人より先に子が死亡している事案では、代襲相続によって当事者の数が増加し、世代を隔てた親族の間で協議を要することとなります。連絡先の把握から着手しなければならない例も少なくございません。
第五に、被相続人に子がある限り、直系尊属及び兄弟姉妹が相続人となることはございません。子の全員が相続の放棄をした場合には、孫が代襲するのではなく、第2順位の直系尊属へと順位が移ってまいります。放棄は代襲の原因ではないという点を確認しておく必要がございます。
第六に、相続人である子の一部が既に死亡し、その子が未成年である場合には、法定代理人である親権者が協議に加わることとなります。もっとも、その親権者自身が相続人であるときは利益が相反いたしますので、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てなければなりません。
第3節 関連する用語
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