代償分割

代償分割とは、遺産分割の方法の一つでございまして、共同相続人のうちの一人又は数人に現物である財産を取得させたうえで、その者が他の相続人に対して金銭その他の財産を給付する義務を負うものとする分割の方法をいいます。家事事件手続法第195条は、家庭裁判所が債務を負担させる方法による分割を命ずることができる旨を定めております。
第1節 制度の内容
遺産分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割及び共有とする方法がございます。現物分割は財産をそのまま各相続人に配分する方法でございますが、遺産の中心が居住用の不動産や事業の用に供されている資産である場合には、これを物理的に分けることが困難でございます。このような場合に用いられるのが代償分割でございます。
審判によって代償分割が命ぜられるためには、特別の事情があると認められること、及び債務を負担することとなる相続人に支払の資力があることが必要と解されております。資力を欠く者に多額の債務を負わせましても、他の相続人の保護に資さないからでございます。もっとも、相続人の全員が合意をするのであれば、協議によって自由に代償分割を選択することができます。
代償金の額は、取得する財産の価額から、その相続人の具体的相続分に相当する額を控除して算出するのが基本でございます。評価の基準時は、遺産分割の時と解されております。相続税の申告における評価額とは基準が異なりますので、両者を混同しないよう注意を要します。
第2節 実務上の留意点
第一に、財産の評価をめぐって争いが生じやすい類型でございます。不動産につきましては、固定資産税評価額、相続税の路線価に基づく価額、不動産業者の査定額、不動産鑑定士による鑑定評価額のいずれによるかで結論が大きく異なります。協議の段階から、いかなる資料に基づいて評価するかを合意しておくことが望まれます。なお、不動産の鑑定評価は不動産鑑定士の業務でございまして、当事務所が行うものではございません。
第二に、代償金の支払の確保でございます。分割の協議が成立した後に支払がされないという事態を避けるため、支払の時期及び方法を協議書に明記し、遅延した場合の取扱いを定めておくべきでございます。金額が多額に上る場合には、公正証書によることや、取得する不動産に抵当権を設定することも検討に値します。
第三に、資金の調達でございます。代償金を支払う原資がない場合には、金融機関からの借入れ、又は取得した不動産を担保に供することを検討することとなります。調達の見通しが立たないまま合意をいたしますと、履行が困難となります。
第四に、事業の用に供されている資産や取引相場のない株式が遺産に含まれる場合には、事業の継続の観点から、これを後継者に集中させたうえで他の相続人に代償金を支払う方法が用いられます。この場合、評価の方法が一層専門的なものとなります。
第五に、課税の関係でございます。代償金の授受は相続税の課税価格の計算に影響を及ぼしますし、金銭に代えて自己の固有の財産を給付いたしますと譲渡があったものとして扱われることがございます。税務の取扱いにつきましては税理士に御確認ください。
第3節 関連する用語
現物分割、換価分割、具体的相続分、遺産分割協議が関連いたします。弁護士費用につきましては弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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