遺産分割協議書

遺産分割協議書とは、共同相続人の全員による遺産の分割の協議が調ったときに、その合意の内容を記載した書面をいいます。分割の効力は協議の成立によって生じますが、その内容を後日に証明するため、書面を作成するのが実務の通例でございます。
第1節 協議と書面の位置付け
共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができます(民法第907条第1項)。民法は書面の作成を協議の効力の要件とはしておりません。もっとも、不動産の登記、金融機関の払戻し、相続税の申告のいずれの場面におきましても、書面の提出を求められますので、実際には作成が不可欠でございます。
協議には共同相続人の全員が加わらなければなりません。一人でも欠いた協議は無効でございます。したがいまして、協議に先立ち、戸籍謄本等によって相続人の範囲を確定しておく必要がございます。包括受遺者も相続人と同一の権利義務を有しますので(民法第990条)、協議に加わることになります。
第2節 当事者に特別の事情がある場合
未成年者とその親権者がいずれも相続人である場合には、親権者が未成年者を代理して協議をすることは利益相反行為に当たりますので、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません(民法第826条)。
判断能力を欠く常況にある相続人がいる場合には、成年後見人等の選任を経る必要がございます。行方の知れない相続人がいる場合には、不在者の財産の管理人の選任(民法第25条)又は失踪宣告(民法第30条)の手続を経ることになります。これらの手続を省いてされた協議は、効力を否定される余地がございます。
第3節 記載事項と実務上の留意点
書面には、被相続人の氏名、死亡の年月日、本籍及び最後の住所を記載して被相続人を特定し、次いで、誰がどの財産を取得するかを記載いたします。不動産につきましては、登記記録の表示に従って所在、地番、地目、地積等を記載し、預貯金につきましては金融機関名、店舗名、預金の種別及び口座番号を記載いたします。記載が不十分でございますと、登記又は払戻しの手続で受理されない場合がございます。
末尾に共同相続人の全員が署名し、実印を押印したうえ、印鑑登録証明書を添付するのが通例でございます。後日に新たな遺産が判明した場合の取扱いを定める条項を置いておきますと、再度の協議を要しない場合がございます。
なお、相続債務の負担を協議で定めましても、その定めをもって債権者に対抗することはできないのが原則でございます。また、相続の開始の時から10年を経過した後にする分割につきましては、原則として特別受益及び寄与分の主張をすることができません(民法第904条の3)。
第4節 関連する用語
遺産分割、遺産分割協議、印鑑証明書、相続関係説明図、特別受益、寄与分などの用語も併せて御参照ください。弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページを御覧ください。
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