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親の会社の株はどう分ける?非上場株式の相続トラブルを防ぐ弁護士の知恵

「親が経営していた会社の株、一体どうやって分ければいいのだろう?」

経営者であるご親族が亡くなられた際、多くの方が直面するのが「非上場株式」の相続問題です。不動産や預貯金とは異なり、非上場株式は「いくらの価値があるのか分かりにくい」「簡単に切り分けて分け合えない」という特殊な性質を持っています。そのため、安易に放置したり、きょうだいで均等に分けてしまったりすると、会社の経営権が分散して事業が立ち行かなくなったり、親族間で深刻な骨肉の争いに発展したりするケースが後を絶ちません。

大切な会社を次の世代へ引き継ぎ、同時に家族の絆を守るためには、非上場株式の正しい知識と事前の備えが不可欠です。

この記事では、非上場株式の相続を放置することの危険性や具体的なトラブル事例をはじめ、自社株の正しい評価方法、経営権を守りながら不公平感を解消する遺産分割の手法、そして将来の争いを防ぐための生前対策まで、弁護士の知恵を交えて分かりやすく解説します。

会社の存続と円満な相続を両立させるための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

1. 親が遺した会社の株式を放置すると危険な理由と、実際に起こりやすい相続トラブルの事例

親が経営していた会社の非上場株式は、不動産や預貯金と違って目に見える形で分割しにくいため、相続が発生した際につい後回しにされがちです。しかし、この非上場株式を未分割のまま放置することは、会社経営の根幹を揺るがす極めて危険な行為です。

法律上、遺産分割が確定するまでの間、株式は相続人全員の「準共有」という状態になります。準共有状態の株式は、相続人の過半数の合意がなければ議決権を行使することができません。これにより、役員の選任や事業の重要決定を行う株主総会が開催できなくなり、最悪の場合は会社経営が完全に麻痺してしまいます。

実際に起こりやすいトラブルとして、以下のような事例が挙げられます。

経営権をめぐる兄弟間の対立
長男が後継者として会社を継ぐ予定だったものの、遺産分割協議がまとまらず、株式が準共有状態になった事例です。会社経営に関与していない次男が権利を主張し、株主総会での決議に反対したため、重要事項の決定や役員報酬の改定が一切できなくなり、取引先からの信用を失う事態に発展しました。

現金化できない株式と相続税の負担
非上場株式には市場価格がありませんが、税法上の評価額が高額になるケースが多々あります。価値が高いと判定された株式を相続したものの、非上場株式は簡単には売却できません。手元に現金がないにもかかわらず多額の相続税が課され、納税資金を巡って親族間で激しい争いが生じるケースです。

このように、非上場株式の放置は親族間の感情的な対立を招くだけでなく、親が築き上げてきた会社そのものを危機に晒すことになります。経営への影響を最小限に抑えるためにも、早期に適切な分割手続きを進めることが極めて重要です。

2. 非上場株式の正しい価値を知る方法と、相続税を抑えるための評価の仕組み

上場企業のように市場で売買されない非上場株式は、「一体いくらの価値があるのか」が直感的には分かりません。そのため、相続が発生した際に相続人同士で評価額を巡って意見が対立し、深刻なトラブルに発展することが多々あります。遺産分割を円滑に進め、さらに相続税を適切に抑えるためには、非上場株式の正しい評価方法を理解することが極めて重要です。

非上場株式の税法上の価値は、国税庁が定める「財産評価基本通達」に基づいて算出されます。この評価方法は、株式を相続する人が「会社の経営を支配できる同族株主か」それとも「経営権のない少数株主か」によって大きく二つに分かれます。

会社の経営権を引き継ぐ後継者が相続する場合は、「原則的評価方式」が適用されます。これには、類似する上場企業の株価や配当などを基準にする「類似業種比準方式」と、会社の純資産から負債を差し引いて計算する「純資産価額方式」、あるいはこれらを併用する方法があります。一般的には、会社の規模(大会社、中会社、小会社)に応じてどの方式を採用するかが決まります。

一方で、経営に関与しない少数株主が相続する場合は、「特例的評価方式(配当還元方式)」が適用されます。これは、過去の配当金のみを基準にして評価額を算出する方法で、原則的評価方式に比べて評価額が極めて低く抑えられる特徴があります。

相続税を抑えつつ、遺産分割を公平に行うためには、事前に自社の株価が現状でいくらになっているのかを正確に把握しておく必要があります。必要に応じて、生前に役員退職金の支給による純資産の引き下げや、後継者への早期の計画的贈与など、合法的に株価を圧縮する対策を講じることが可能です。

非上場株式の正確な評価や具体的な引き下げ対策には、税務と法務の双方にまたがる高度な専門知識が求められます。親が築き上げた会社と家族の絆を守るためにも、まずは相続の専門家である弁護士や税理士に相談し、現状の株価算定から始めてみることをお勧めいたします。

3. 会社を存続させながら親族間の不公平感をなくすための、具体的な遺産分割の進め方

親が経営していた会社の非上場株式を相続する際、最も避けたい事態は、株式が細分化されて経営権が不安定になることです。会社を安定して存続させるためには、後継者となる特定の相続人に株式を集中させる必要があります。しかし、会社の資産価値の大部分を株式が占めている場合、他の親族から「不公平だ」と不満が噴出し、深刻な争いに発展することが少なくありません。

会社をスムーズに存続させながら、親族間の公平性を保つための具体的な遺産分割の手法として、以下の3つのアプローチが極めて有効です。

まず、最も現実的な解決策となるのが「代償分割(だいしょうぶんかつ)」の活用です。これは、後継者が非上場株式をすべて相続する代わりに、他の相続人に対して、その価値に見合うだけの「個人の自己資金(代償金)」を支払う方法です。この方法を選択すれば、経営権の分散を防ぎつつ、他の相続人も納得のいく金銭を受け取ることができます。ただし、株式の評価額に見合うだけのまとまった資金を後継者個人が用意しておく必要があるため、事前の資金準備や、生命保険を活用した準備が鍵となります。

次に、株式を「議決権制限株式」へ移行する方法も効果的です。会社の株式を「議決権のある株式」と「議決権のない株式(配当優先株など)」に分けることで、後継者には経営権(議決権)を集中させ、経営に関与しない他の親族には配当金という形で経済的メリットのみを分配することが可能になります。これにより、経営の意思決定を一本化しながらも、遺産分割における実質的な不公平感を和らげることができます。

さらに、生前からの対策として「遺留分に関する民法の特例(経営承継円滑化法)」の活用を視野に入れることも重要です。この特例を利用すると、後継者が先代経営者から贈与された自社株式について、他の相続人の遺留分を計算する際の基礎財産から「除外」することや、その価値を「固定」することに合意できます。家庭裁判所の許可など所定の手続きが必要ですが、将来の遺留分トラブルを予防する強力な防衛策となります。

非上場株式の相続は、単なる財産の分け合いにとどまらず、会社の未来を左右する重大な手続きです。後継者への経営権集中と、他部への公平な財産分配を両立させるためには、会社の財務状況や親族関係に応じたシミュレーションが欠かせません。トラブルを未然に防ぎ、円滑な事業承継を実現するためにも、専門的な知識を持つ弁護士や税理士などの専門家へ早期に相談し、最適な遺産分割協議書を作成することをおすすめします。

4. 経営権の分散を防ぎ将来の争いを未然に防ぐために、今すぐ準備すべき生前対策

非上場株式の相続において最も避けなければならない事態は、株式が複数の遺族に分散してしまい、会社の意思決定が困難になることです。経営権の分散は、迅速な意思決定を妨げるだけでなく、最悪の場合には会社経営の破綻を招くリスクを含んでいます。このような悲劇を未然に防ぐためには、被相続人が健在なうちから計画的な生前対策を実行しておくことが不可欠です。

まず検討すべき強力な手段が「遺言書の作成」です。遺言書において、後継者となる特定の相続人にすべての事業用株式を相続させる旨を明確に指定しておくことで、遺産分割協議での混乱を未然に防ぐことができます。ただし、この際には他の相続人の「遺留分」に配慮しなければなりません。株式の価値が高額である場合、後継者以外の相続人から遺留分侵害額請求がなされ、結果として多額の金銭支払いを求められるトラブルが多発しています。

この遺留分問題への対策として有効なのが、生命保険の活用や「除外合意・固定合意(経営承継円滑法に基づく民法の特例)」の手続きです。あらかじめ遺留分の対象から自社株式を除外する合意を相続人全員との間で形成しておくことで、将来の紛争リスクを劇的に低減させることができます。

さらに、近年注目を集めているのが「家族信託(民事信託)」の活用です。信頼できる後継者に株式の管理・処分権限(議決権)を託しつつ、株主としての経済的利益(配当金など)は他の親族に帰属させるといった柔軟な設計が可能になります。これにより、経営権の集中と公平な財産分配を両立させることができます。

また、生前から計画的に株式の贈与を進める「生前贈与」や、議決権のない株式を発行する「種類株式」の活用も、経営権を守るための有力な選択肢です。事業承継の対策は、時間をかければかけるほど選択肢が増え、よりスムーズな移行が可能になります。会社の未来と家族の絆を守るためにも、まずは現状の資産価値と株主構成を正確に把握し、相続分野に精通した弁護士などの専門家に相談しながら、早期に対策を進めることが推奨されます。

5. 複雑な自社株の相続手続きを円満に解決するために、弁護士へ相談するメリット

非上場株式の相続は、一般的な預貯金や不動産の相続に比べて専門的な知識が必要不可欠です。株式の評価額が明確でないため、親族間での意見の対立が起こりやすく、気づいたときには深刻な争いに発展しているケースが少なくありません。こうした複雑な自社株の相続手続きを円満に進めるためには、相続実務に精通した弁護士へ相談することが極めて有効な解決策となります。

弁護士へ相談する最大のメリットは、法的な根拠に基づいた公平な遺産分割案を提示できる点にあります。非上場株式の適正な評価額を算出し、後継者以外の相続人に対しても納得感のある説明を行うことで、感情的な対立を防ぐことができます。万が一、親族間で意見がまとまらず遺産分割協議が難航した場合でも、弁護士は代理人として交渉を担い、調停や審判を見据えた最適な解決ルートへと導きます。

さらに、将来的な会社経営に影響を及ぼさないための事業承継対策も同時に進めることが可能です。株式の分散を防ぎ、特定の経営後継者に議決権を集中させるための遺留分対策や、納税資金の確保といった専門的な課題に対しても、税理士をはじめとする他の専門家と連携しながら包括的なサポートを提供します。

会社の存続と家族の絆を守るためには、トラブルが顕在化する前の早期相談が鍵となります。専門家である弁護士の知恵を借りることで、手続きの負担を大幅に軽減し、すべての相続人が納得できる円満な相続を実現させましょう。