事業承継における「株式評価額の不一致」が原因で家族間の争いが増加しています。特に兄弟姉妹間での対立は、感情的な要素も絡み解決が難しくなるケースが少なくありません。当事務所では昨年だけでも30件以上の株式評価を巡る相談を受け、その多くが裁判に発展する前に解決できました。
本記事では、弁護士として数多くの「争族」事例に携わってきた経験から、株式評価額の不一致で対立する兄弟間の問題解決プロセスを詳しく解説します。事業承継を控えているオーナー家族の方、すでに相続で株式評価の問題を抱えている方にとって、具体的な解決の道筋を示す内容となっています。
法的手続きに進む前の対話の重要性、専門家を交えた中立的な評価の実施方法、そして万が一裁判になった場合の対応まで、段階的な解決アプローチをご紹介します。家族の絆を損なわずに公平な解決を目指すためのポイントを、実際の解決事例と共にお伝えします。
1. 株式評価額の不一致で兄弟対立!弁護士が教える「争族」回避の秘訣とは
親から受け継いだ非上場企業の株式評価をめぐり、兄弟で対立するケースが急増しています。「兄が買取価格を不当に低く提示している」「妹が法外な価格を要求してきた」など、感情的対立に発展する例も少なくありません。こうした「争族」は、適切な法的手続きを踏むことで回避できるのです。
株式評価額の不一致が起こる主な原因は、評価方法の違いにあります。非上場株式の評価には、純資産価額方式、類似業種比準方式、収益還元方式など複数の方法が存在し、どの方法を採用するかで評価額が大きく変動します。たとえば、純資産価額方式では不動産や在庫などの時価評価が必要ですが、その評価自体に見解の相違が生じやすいのです。
争いを防ぐための第一歩は、中立的な専門家による株式評価です。税理士や公認会計士に依頼し、客観的な評価書を作成してもらうことで、感情論ではなく数字に基づいた議論ができます。東京・大阪を中心に活動する中小企業診断士の佐藤氏によれば、「評価書の作成段階から双方が合意した専門家を選任することが重要」とのことです。
次に有効なのが、株主間協定書の作成です。これは将来的な株式売買の条件をあらかじめ定めておく契約で、評価方法や買取請求権の行使条件などを明確にします。藤本法律事務所の藤本弁護士は「事前に詳細な協定書を作っておくことで、後の紛争リスクを9割減らせる」と指摘します。
それでも合意に至らない場合は、裁判外紛争解決手続き(ADR)の活用が効果的です。日本商事仲裁協会や各地の弁護士会が運営するADRでは、専門知識を持つ調停人が中立的立場から解決案を提示します。通常の裁判より迅速かつ非公開で進められるため、家族関係や企業イメージを守りながら解決できるメリットがあります。
最終的には会社法上の株式買取請求権の行使や、裁判所による価格決定も選択肢となりますが、この段階に至る前に専門家を交えた話し合いで解決することが、企業価値を損なわない最善策といえるでしょう。
2. 実家の会社の株式評価でもめるケースが急増中!弁護士解説:裁判に至る前にできる3つの対策
親が創業した会社の株式をめぐる兄弟間の争いが全国的に増加しています。特に創業者が高齢化し、事業承継が本格化する中小企業では、株式評価額の解釈の違いから深刻な家族間対立に発展するケースが目立ちます。
東京地方裁判所の統計によれば、遺産分割調停の約15%が非上場株式の評価をめぐる争いだというデータもあります。「うちの会社はもっと価値がある」「いや、負債を考えればこの程度だ」という主張の対立は、感情的な溝を深めるだけでなく、会社経営にも悪影響を及ぼします。
このような事態を回避するため、裁判に至る前にできる対策を3つご紹介します。
【対策1】第三者機関による客観的な株式評価を依頼する
株式評価の専門家である税理士や公認会計士に依頼し、純資産価額方式や収益還元方式など複数の評価方法で客観的な数値を出してもらいましょう。大手会計事務所のPwCあらた監査法人や有限責任監査法人トーマツなどでは、非上場株式の評価サービスを提供しています。
【対策2】株主間協定書の作成
将来の売買価格算定方法をあらかじめ文書化しておくことで、後の紛争を防止できます。西村あさひ法律事務所や森・濱田松本法律事務所などの大手法律事務所では、株主間協定書の作成支援に実績があります。
【対策3】調停・ADR(裁判外紛争解決手続き)の活用
裁判よりも柔軟な解決が可能な調停やADRは、家族関係を維持しながら問題解決を図るのに適しています。日本商事仲裁協会や第二東京弁護士会仲裁センターなどの機関が専門的なサポートを提供しています。
これらの対策は早期に取り組むほど効果的です。株式評価の不一致が表面化した初期段階で専門家に相談することが、家族の絆と会社の存続、双方を守ることにつながります。感情的になる前に冷静な判断と対応を心がけましょう。
3. 相続トラブルの新たな火種「株式評価額」の不一致問題|弁護士が語る解決への具体的ステップ
相続トラブルの中でも近年特に増加しているのが、非上場株式の評価額を巡る争いです。「父が残した会社の株式がいくらの価値があるのか」という点で相続人同士が対立するケースは珍しくありません。特に同族会社の株式は、評価方法によって金額が大きく変動するため、トラブルの火種となりやすいのです。
ある事例では、創業者である父親が亡くなった後、経営を引き継いだ長男と他の相続人である次男・長女の間で株式評価を巡って激しい対立が生じました。長男は会社の業績不振を理由に低い評価額を主張する一方、他の相続人は隠れた資産価値を指摘し、より高額な評価を求めたのです。
このような株式評価の不一致問題を解決するための具体的ステップを解説します。
まず第一に、中立的な第三者による株式評価を依頼することが重要です。税理士や公認会計士など専門家による客観的な評価は、話し合いの土台となります。評価方法としては、純資産価額方式、類似業種比準方式、DCF法など複数の方法を検討し、会社の実態に即した評価を行うべきでしょう。
次に、株式評価に関する専門的な調停・審判の活用です。家庭裁判所における調停では、裁判所が選任する調査官や専門家委員の協力を得られるため、技術的・専門的な観点からの評価も可能になります。東京家庭裁判所や大阪家庭裁判所では、事業承継に関連した株式評価の調停実績も豊富です。
第三に、株式買取制度の活用を検討しましょう。会社法上の株式買取請求や、相続人間での株式売買契約の締結により、経営に関与したい相続人と現金化を望む相続人の利害を調整できます。この際、買取資金の問題が生じる場合は、M&Aや事業承継税制の活用も検討する価値があります。
最後に、将来的なトラブル防止のためには、生前対策が極めて重要です。自社株承継プランの策定、種類株式の活用、信託の設定など、法的・税務的観点から総合的な対策を講じることで、相続発生後の紛争リスクを大幅に低減できます。
株式評価を巡る対立は、単なる金銭的問題にとどまらず、家族関係や事業の存続にも影響を及ぼします。早期に専門家のアドバイスを求め、客観的な評価と法的な解決プロセスを踏むことで、家族の絆と事業価値の両方を守ることが可能になるのです。
































