相続法の条文解説(遺言総則:960条~966条)

(遺言の方式)

第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

 


(遺言能力)

第961条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

 


第962条 第5条、第9条、第13条及び第17条の規定は、遺言については、適用しない。

 


第963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

 


(包括遺贈及び特定遺贈)

第964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

 

◆ 特定遺贈の効力

判例1 特定遺贈の目的物は、遺言者の死亡と同時に、直接受遺者に移転する。(大判大5.11.8

 

◆ 債権の遺贈

判例2 債権の遺贈は、遺言者死亡の時から債権移転の効力を生じ、遺言執行者の債権譲渡の意思表示を必要としない。(大判大10.5.30

 

◆ 総財産売却代金の贈与

判例3 遺言者が贈与でその総財産を売却しその代金を分配贈与する場合は、包括遺贈であり、財産分割に至るまで受遺者は遺産を共有する。(大判昭5.6.16

 

◆ 遺贈と登記

判例4 甲からその所有不動産の遺贈を受けた乙がその旨の所有権移転登記をしない間に、甲の相続人の一人である丙に対する債権者丁が、丙に代位して同人のために前記不動産につき相続による持分取得の登記をなし、ついでこれに対し強制競売の申立てをなし、該申立てが登記簿に記入された場合においては、丁は、177条にいう第三者に該当する。(最判昭39.3.6

 

◆ 住居表示による不動産の遺贈

判例5 遺言者の住所をもって表示した「不動産」を遺贈する旨の遺言は、その住所地にある土地および建物を一体として遺贈する意思表示と解するのが相当である。(最判平13.3.13


 

(相続人に関する規定の準用)

第965条 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。


 

(被後見人の遺言の制限)

第966条 被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。

2 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。